同人サークル「IronSugar」の戯言帳

同人サークル「IronSugar」と申します。DMM等で主にデジタル同人活動しております。

着物業界の「振袖勧誘」と「展示会商法」の昔話

 

 最近、着物業界の黒い話題で盛り上がってますね。

 

 実は自分も以前は着物業界で働いていまして、そのグレー(っていうかほとんどブラック)な面は散々体験してきましたので、良い機会なので色々と書き残してみたいと思います。

 

新卒で着物屋に就職する

 自分は新卒でとある着物チェーンに就活で応募し、内定をもらいました。

 

 

 今思えば、なんで着物屋なんて仕事についてしまったのか悔やまれますが、その当時は世間知らずの大学生だったので、とにかく内定が出ればどこでもいいや~という適当な理由で決めてしまった感じです。

 

 また就活サイトでも「店舗スタッフ」とかいてあったので、「楽そうだ」という勝手なイメージで安易に決めてしまいました。

 

 そんなこんなで、新卒カードという貴重な手札を犠牲にして「着物業界」という未知の世界に踏み込んでしまったわけです。

 

店舗に客が全く来ない

 店舗スタッフという仕事に対する当時のイメージは「勝手にワラワラ店に来る客の対応をすればいい」という感じでしたが、現実は全く異なっておりました。

 

 とにかく、店に客が来ない!

 

 自分が配属された店舗はイトーヨーカドーのテナント店舗だったので、周りには買い物客がウロウロいるんですけど、着物屋を見ようという人は全くいませんでした。

 

 1日の営業時間で、2~3組が立ち寄ってくればマシな方。(もちろん買わない)

 

 ここで当然の疑問。

 

 客がいないなら、着物屋の店舗スタッフは、毎日何をしているのか?

 

  ひたすら営業電話・飛び込み営業をしています。

 

 着物は高価なので、滅多に売れません。

 

 でも毎月、ノルマという予算は組まれているので、その金額を達成できるように努力しないといけない。

 

 なので、店舗スタッフは店に客を呼ぶために、バックヤードで電話勧誘をしているわけです。

 

営業電話には2種類ある

  店舗に配属されるとまず名簿を渡されます。

 

 店舗が勧誘する地域の高校を卒業したばかりの娘さんがいる家庭の名簿です。

 

 それには一家のフルネーム・住所・電話番号が記載されていました。

 

 店長いわく「名簿屋から仕入れている」という事でした。

 

 その名簿を使って、店舗スタッフは振袖の勧誘電話を開始します。

 

 また、既に顧客を持っているスタッフは既存客に対して、毎月店舗で実施するキャンペーンや、季節ごとの催事、アフターサービスの案内電話をします。

 

 つまり着物屋が行う営業電話には「新規獲得の振袖勧誘」「既存客への催事勧誘」の2種類があるという事です。

 

 

振袖勧誘のルール

 新規獲得である振袖の案内で重要なのは、とにかく「母親」につなげる事です。

 

 「父親」でも「本人」でもダメ。

 

 

 

 とにかく母親につながらない限り、見込み客としてリストに残り続けるので、何回も繰り返し電話攻撃する事になります。

 

 いきなり振袖勧誘の電話が来ると、高確率で断られます。

 

 なので、店舗スタッフはみんな嫌々やってましたね。

 

 実際に勧誘しない店長や、マネージャーは偉そうに後ろから指示するだけです。

 

 暇ならお前らも電話かけろや!って当時の自分は思ってました。

 

若いスタッフで褒め殺し

 日々の勧誘が功を奏し、お客さんがお店にやってくることがあります。

 

 すると担当スタッフが色々と店内を案内するのですが、若いスタッフは電話掛けを中断してお客さんの接待に付き添います。

 

 そしていざ着付けを始めると怒涛の褒め殺し攻撃が始まります。

 

 

 振袖を見に来た女の子も、断り切れずに連れて来られたおば様も、若いスタッフに褒めまくられると気分が高揚してしまうので、成約率が高くなるからです。

 

 この若いスタッフが褒める、というのがポイント。

 

 ホスト業界でもそうですが、着物業界にもデート商法的なモノは存在します。

 

 

 若いイケメンスタッフの気を引きたいがために、高額な着物を買ってしまう人も中にはいます。

 

 ある展示会では、「この人を全国ナンバー1の売上にしてあげたい」みたいな事を公言していたお客さんもいたくらいです。

 

 ちなみに、売れっ子営業スタッフには2種類いました。

 

 若いイケメンスタッフと、経験豊富なおばさんスタッフ。

 

 イケメンスタッフは容姿で売上を伸ばし、おばさんスタッフは経験で売上を伸ばしていくのです。

 

展示会商法と多重ローン

 催事の季節になると、既存顧客を持っているスタッフは展示会の案内をします。

 

 とはいっても、進んで「着物を見たい」という人は存在しないので、会社はモノで釣ろうと考えます。

 

 劇団四季等の観劇無料チケットで釣るパターン。

 

 豪華クルージングの無料招待で釣るパターン。

 

 その他、色々と種類はありました。

 

 いずれにしても、そういった無料招待で釣られてしまったお客さんは、強制的に展示会と呼ばれる会場に連行されてしまいます。

 

 そこに入ってしまうと、もう逃げ場はありません。

 

 営業スタッフ、問屋、応援で来ていた他店のスタッフ、その他大勢でお客さんを取り囲んで、べた褒め、拝み倒しの軟禁状態にして、「何か買うまで帰さない」雰囲気に持っていきます。

 

 必要であれば土下座もします。(しました)

 

 

 自分も勧誘したお客さんに、40万の帯を買ってもらいました。

 

 その方は以前に買った着物のローンが残った状態だったのですが、カード会社の協力で、多重ローンを抱えていた人でも問題なく通してしまっていました。

 

 自分のいた会社には「オリコ」の営業マンが入り浸っていました。

 

 

20万円の自爆買い

 営業スタッフは月々の達成不可能な数字をノルマとして挙げられ、それを達成できなかったスタッフは店長やマネージャーから暗に自爆買いを要求されます。

 

 それというのも、店長やマネージャーは店の売上、あるいは担当地域の売上が自分のインセンティブになるし、自分の評価にも直結するので、お客さんであろうが、社員であろうが、売上が立てばどっちでもいいという事情からです。(クソですね)

 

 なので、社員はプレッシャーに負けて、自爆買いしてしまうことがあります。

 

 ちなみに予算は新人の場合は毎月50万、ベテランだと数百万という無茶な予算が割り振られています。

 

 なので、自爆買いする時は、必然的に数十万円単位の自爆となります。

 

 社員だけでなく、パートの人も自爆買いを迫られるので、本当に可哀そうでした。

 

 ちなみに新入社員は入社してすぐの展示会で、例外なく大島紬という高額な着物を自爆買いさせられます。

 

 自分も買いました。定価20万円でした。

 

 

 当然、一括払いはできないので、給与天引きという形で支払っていきます。

 

 新入社員に自爆買いさせる理由は、売上のためもありますが、短期間に辞められる事を防止するためだと囁かれておりましたね。

 

 ちなみに自分の同期で、年間売上NO1に輝いた女の子は、親戚一同に着物を買ってもらったという離れ業をやっておりました。

 

着物業界の衰退は自業自得

 伝統文化という意味でも「着物」というのは大事だと思いますし、残していくべきだと思いますが、上記のような手法で着物を押し売りするような業界は衰退しても仕方ないと思いますね。

 

 

 また、その悪徳販売を後押ししていた、胡散臭い京都弁の問屋共や、多重ローンでもバシバシ契約していたカード会社(オリコ)の罪も同様のものだと思います。

 

 もちろん今の着物業界は昔ほどやりたい放題ではないと思うので、徐々にでもこの状況が改善されている事を祈るばかりです。